最期の言葉
 そのうちに私は気付いた。
 何かが、おかしい。その『何か』はすぐにわかった。
 彼は、今も「あの日」にいる。私が死んだ「あの日」に。
 
何度も、何度もあの日に戻る。何度も、何度もあの日だけを繰り返す。そして何度も、何度も同じ結果にたどり着く。

 きっと、私が死ぬという事実は変えられない。でも、このままだと彼は、あの日から抜け出せない。
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