最期の言葉
 待って。せめて彼が今日を越えるのを見届けたい。彼が明日へ踏み出すまで、消えたくない。
 そんな願いは届かなくて、それでも消えゆく最期に、彼の言葉が私を包む。

 「ゆうちゃんありがとう」

 嗚咽まじりの、優しい声。わかってくれたの?私の気持ち、届いたの?

 それを確かめる術もなく、全てが、消える。全てが、無に還る…。
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