30秒と100万人(仮題)
「どうしたん?今日お前バイトか?」

「そうなんやけどな、他のバイトと被っちゃって久坂に代わって欲しいんだわ」

「へぇ。前原にしては珍しいダブルブッキングやな。構わんよ」

「マジでサンクス!じゃあ今日頼まぁ」


前原は前述の通り独居で家事はもちろん事複数のバイトをしている。

以前少しだけ聞いたことがあるが、実家からの仕送りに一切手を付けず、

生活費全般は全て独力でまかなっているらしい。

言わば限りなく自立をしている彼は知っている範囲でそうそう居る様な部類でないのだが、

その反動が授業時間ほぼ睡眠学習だ。

極論このクラスは出席日数だけ足りていれば進級ができるので、

まだ登校しているだけマシなのだろうと自己完結。


この日は前原の家に寄る事なく電車に乗って家を経由してバイトに行くことにした。



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