30秒と100万人(仮題)
解答の無い問題をまたひたすらに考えていた。

数式の様に答えが

限りなく無限に近く

限りなく不明である

後味の悪い問題を解いている最中前原のアパート前に着いた。

築2、3年程度の比較的新しい3階建ての箱型アパートの3階端に前原が住んでいる。


自動ロック等ついてなくチャイムも鳴らさずドアに手をかける。


俺が入ってくるのを知っているのか、

もしくは鍵をかける習慣がないのか定かではないがいつもドアは施錠していない。

いくらここが田舎でも危機管理の概念がないのかもしれないと思いつつドアを引くと、

タバコと香水が混ざった匂いがドアと一緒に流れ出てくる。

その先に見える部屋の右窓側横にあるベッドで前原はタンクトップとボクサーパンツ姿でタオルケットを蹴とばした形で寝ていた。

前原を起こす事もせず俺は前原が寝ている部屋のテーブル隣にある座椅子に座ってテレビをつける。

この時間はどのチャンネルもニュースしかないのだが。

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