30秒と100万人(仮題)

視界がぼやけているのか辺りをキョロキョロとしている。

時計を探しているのだろうと思い、


「おはようさん。まだ８時１０分だからまだ大丈夫」


と声をかけると、やはり時計を探していた様で首の動きが止まった。


「おう……おはよう。」


と疲れと眠気が強く残っている様な声で返答した前原は俺の横に座り、

テーブル上に置いていたタバコを取り出して目覚めの一服をする。


「昨日はすまなかったな」


「構わんよ。昨日は暇だったし。

　それよか前原は疲れ残ってるみたいだからそっちが大変だったんじゃね？」


「お、おう。いつも以上に眠気が残っとるわ。

多分久坂が起こしにこなかったら夜まで爆睡できる位だわ」


「無理しすぎんなよ。大抵は体が資本なんだから、

行き過ぎたら面倒なのは後からなんだからな」