30秒と100万人(仮題)

#1-0

-3rd Person-

市内で1番大きく新しい病院

赤間関医療センターの外来待合に1人の男が居た。


100席はあるこの待合の空間は天井と横壁の常夜灯だけが灯っていて、

待合の中央に位置する壁に秒針の先に蛍光処理したアナログ時計が

不気味に3時を指している。

常夜灯と自動カーテン越しにある採光を考慮した大きな窓一体から光が漏れてこないことから深夜の3時だろう。


薄暗くてわからないが20に満たない少年であろうか。


なぜここに彼1人だけ居るのかはわからないが、

まるでこの空間で彼だけの時間が止まっている様に呆然としている。


少年の目は開いたままでまばたきすらしていない。

しかし少年の眼球は乾かず、

涙腺から

鼻から

体中から

穴と言う穴から液体が漏れている。

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