30秒と100万人(仮題)
担任の杉の話はいいとして、

今学期最後のHRも終わり夏休みが始まる。

夏休みの予定なんてない俺はただバイトをするだけの夏になりそうだ。

夏限定でプラス日中にも他のバイトをすることになったのだが、

これは前原のツテだ。

前原は顔が広いのかそれなりのコネクションがあるらしい。

俺が知っている彼は教室で常に寝ている姿と、

焼肉屋のバイト時に厨房越しで見る姿と、

後は前原宅での彼だ。

普段は半分は眠気ともう半分は気だるさで出来ている彼は見えない所で一体どんなことしているのだろう。

互いに詮索は好まないけれど、

それを差し引きしても友人という立場からして全く気になっていないと言えばそれは嘘になってしまう。

前原が俺に話しかけてきた事が全ての始まりだ。

それはクラスとバイト先が同じなだけではなくて、

何か運命的なモノを感じた。

きっと彼は今よりも面白い事をもたらしてくれるんじゃないのか?

思惑は半分正解だった。

彼の提案する事はほぼ最大限の興味をもつことになって、

少し空の色が晴れてきたような気がした。

もう半分は未知数だ。

でもその未知数は決して悪いものではない。

根拠はないけど確信が持てるのだ。
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