30秒と100万人(仮題)
HRも終わって教室を出たところで後ろから

「おーい久坂ー」

と呼び止める声がしたので振り向くと俺よりも背は低いが170cm位はあるツーブロックミディアムショートの髪型をした男が近づいてきた。

彼は前原。


16になったちょうど去年の今頃に初めてバイトをした際に彼が居た所からよくつるむようになったので1年程度の付き合いだ。

地元は市外らしく学校近くのアパートに独居で、

よく前原の家で過ごすことが多い、

過去に謎が多い人でもあって、以前に1度だけ地元や昔の事を聞こうとしたのだが、

やんわりとはぐらかしたので、それ以上は聞くことはなかった。

会話の過程とは言え、

互いに干渉を好まない性分なので気にすることはなかったし、

今では言葉を交わさずともある程度の事は理解できる様な間柄なのでそれ以上は求める事はしなかった。

いつも興味を最大限にそそらせる当事者の1人であって、

なによりも一緒に居て楽な存在なのは嬉しい事だ。
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