魅惑のハニーリップ
 たった今、宇田さんに言われたばかりで、頭ではわかっていることなのに……
 私より浅田さんを選んだように聞こえた。

 まるでお別れの言葉を言われたように聞こえたのだ。

「ごめん。俺、行かなきゃ……」

 宇田さんはポツリと呟くと、私の肩にポンポンと手を置いて背中を向けた。
 
 途端になんとも言えない悲しみがこみ上げてくる。
 だって、いつもみたいにハニかんで笑ってくれてなかったから。


 宇田さん。
 どうしてそんな真剣な顔をしているの?

 お願いだから、お昼休みのときみたいにケラケラと笑って?

「ヤキモチ焼いてるの?」って、冗談ぽく笑い飛ばして?

 それだけで……私の不安は軽減されるのに……

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