魅惑のハニーリップ
「私はてっきり浅田さんのことかと思ったけど?」

 せっかく話がそこで終わろうとしていたのに、優子が違う爆弾を投下する。

「浅田さん?……それって誰?」

「営業部の子なんですけどね、どうも宇田さんのこと好きみたいで」

「へぇー、そんな子が聖二の傍にねぇ」

「宇田さんはモテますからね。全然不思議じゃありませんよ」

 佐那子さんが眉をひそめて優子に問うと、あっさりと優子も浅田さんのことを話してしまった。
 当の本人である私をよそに話が進んでいく。

「もう~、優子! 浅田さんのことは、気にしないって決めたの。宇田さんが大丈夫だって言うんだから、信じるしかないもん」

 やっとわかったのだ。
 こればっかりは、気にしたってどうなるものでもないから……

 宇田さんが気にしなくていい、大丈夫だと言うなら、そう信じるしかない。

 それしか不安を拭い去る方法はないんだ。

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