魅惑のハニーリップ
エレベーターを降りて、所属する販売促進部へ向かう途中、営業部の前を通りかかると、宇田さんと佐那子さんが立ち話をしていた。
なんとなく、その先に進んでいけなくて歩みを止める。
二人は同期で、元から仲がいい。
宇田さんは今でも佐那子さんが好きで……
楽しそうに笑いながら話している姿は、自然と絵になってしまう。
和やかな光景のはずなのに、なぜか見てはいけないものを見たかのように、思わず視線をその場の床へとそらせてしまった。
「あ、遥ちゃん! おはよう」
先に気付いたのは、佐那子さんだった。
私のいるほうへ颯爽とやってくる佐那子さんは、キラキラと輝くように今日も綺麗でカッコいい。
私も止めていた歩みを進めて、佐那子さんたちのほうへ近づいた。
「佐那子さん、おはようございます」
「なんだか久し振りだよね。元気でやってる?」
佐那子さんは入社のときからお世話になった同じ課の先輩だったけれど、半年前に秘書課へ異動になってしまった。
こうしてなにか用事があって来てくれることがないと、今はほとんど接点がない。
「あ、はい……なんとかやってます」
佐那子さんは少し前に婚約をした。
もうすぐ結婚するみたいだ。
私が――以前に好きだった人と。
なんとなく、その先に進んでいけなくて歩みを止める。
二人は同期で、元から仲がいい。
宇田さんは今でも佐那子さんが好きで……
楽しそうに笑いながら話している姿は、自然と絵になってしまう。
和やかな光景のはずなのに、なぜか見てはいけないものを見たかのように、思わず視線をその場の床へとそらせてしまった。
「あ、遥ちゃん! おはよう」
先に気付いたのは、佐那子さんだった。
私のいるほうへ颯爽とやってくる佐那子さんは、キラキラと輝くように今日も綺麗でカッコいい。
私も止めていた歩みを進めて、佐那子さんたちのほうへ近づいた。
「佐那子さん、おはようございます」
「なんだか久し振りだよね。元気でやってる?」
佐那子さんは入社のときからお世話になった同じ課の先輩だったけれど、半年前に秘書課へ異動になってしまった。
こうしてなにか用事があって来てくれることがないと、今はほとんど接点がない。
「あ、はい……なんとかやってます」
佐那子さんは少し前に婚約をした。
もうすぐ結婚するみたいだ。
私が――以前に好きだった人と。