魅惑のハニーリップ
「俺さ、……昨日からずっと考えてたことあるんだけど」

「……え?」

 いったいなんのことだろうと思い、隣の宇田さんに視線を移した。
 けれど、宇田さんはまだ、佐那子さんと恭哉くんの後姿を見つめたままだった。

「俺たちさ……一緒に暮らさない?」

 突然の言葉に思わずポカンとしていたら、宇田さんが隣りの私に静かに視線を移し、微笑みかける。

「え?……えぇ~~!」

「なにもそんなに驚かなくても」

「だ、だって……」

「遥ちゃん……転職するだろ? 俺が毎日会社帰りに遥ちゃんのとこに行くんだったら、いっそのこと一緒に住んじゃえばいいかなと思ったんだよ」

「……」

「まぁ、今日のアイツらに感化されたところは多少ある……かな。アイツらみたいに、この先ずっとふたり一緒にいられたら俺は幸せなんだけど。でも、さすがにいきなり結婚っていうと、遥ちゃんを悩ませそうだからさ」

 そこまで言うと、宇田さんはふんわりと私をその場で抱きしめた。

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