魅惑のハニーリップ
「いずれは俺の嫁さんになってほしいけど……でも今はそんなの焦らずに、ただ遥ちゃんと一緒にいたい。すれ違いの多い生活になるかもしれないけど、俺はいつでも遥ちゃんの傍にいたいと思ってる。だから毎日遥ちゃんの顔が見られるように、一緒に暮らしたいんだよ」

 そっと身体を離して、今度は私の顔を覗き込む。
 宇田さんはいつも以上に真剣な表情をしていて……力強く瞳を射貫かれた。

「俺のワガママ……きいてくれない?」

 ねぇ、宇田さん……
 どうして、そんなうれしいことが“ワガママ”になっちゃうんですか?

「宇田さんは、全然私のことわかってないですね」

「え?……」

「全然そんなの…ワガママでもなんでもないですよ。私だって、宇田さんと一緒にいたいんですから」

「じゃあ、俺と一緒に暮らしてくれる?」

「……はい。……よろしくお願いします」

 そう言った瞬間、先程とは違い、勢いよくギュッと抱きしめられた。

「う、宇田さん! ちょ、ここじゃマズいですよ」

 だってここは……
 ほかには今は誰もいないけど、一応ホテルの通路だ。
 いつ誰が来てもおかしくないわけで。
 こんなところで抱き合うなんて、宇田さん……大胆すぎます。

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