魅惑のハニーリップ
「ちょっと聖二!! 昨日ってなに? また遥ちゃんたちを飲みに誘ったの? かわいいからってあんまり連れまわさないでよね!」

 腕組みをしながら、佐那子さんが呆れた表情で宇田さんに視線を移す。
 彼女はヒートアップして、どんどん恨み節を言い募りそうな勢いだ。

「いや、昨日はなんて言うか……違うんだよ」

 ジリジリと詰め寄っていく佐那子さんに、宇田さんは瞬時にマズいと察して、バツの悪い顔をした。
 
 宇田さんは佐那子さんに弱い。
 それは、はっきりと聞かなくても、やりとりを見ているだけでわかる周知の事実だ。

 佐那子さんは結婚する。
 だけど、そんなことは関係なく、宇田さんはまだ佐那子さんを想ってるんだと思う。

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