大好きなんです。
近づいてくるその人がいないかのように歩いていく知樹先輩
そしてその人とあたしたちがすれ違い通り過ぎた
「ねえ!」
後ろからその人が言った
気にせず歩いていく知樹先輩
手を握られたままだからあたしも歩く
「ねえってば!!」
その人は言い続けた
「…莉乃ちゃん、俺にくっついてて……」
知樹先輩があたしにぼそっと言った
どういう意味か分からなかったけど知樹先輩から離れないようにした
「何、俺になんか用?」
知樹先輩は振り返ってその人に向かって言った
部室で聞いたあの声で……
「知樹、会いたかった……」
言いながらその人は近づいてきた
「ねえ、俺来るなって言ったよね?」
冷たく言い放つ知樹先輩
それを聞いてなのかその人は歩くのを辞めた
「…ずっと知樹に会いたかった……」