大好きなんです。
さっきからずっと知樹先輩にくっついているあたし。
お化けが怖すぎる…。
お化け屋敷なんてもう入りたくないよ。
「莉乃、出口見えてきたよ!」
出口、やっとだ……
ようやくここから抜け出せる!って……
後ろから足音が聞こえる。
こんな近くに次の人たちいなかったような。
「じゃあ行こっか…って莉乃走るよ!」
「…へ…?」
わけのわからないあたしと手を引っ張る知樹先輩。
そのまま出口に一直線に走る。
「はぁ、疲れたな!」
「えっと、何が……?」
まだこの状況がよくわからない。
一体何があったって言うの?
「ん、後ろからお化けが追いかけてきたんだよ!」
後ろからお化け……
怖すぎる!まさかそれを気づかなかったなんて。
「う、嘘ですよね…?」
知樹先輩が驚かそうとしているかもしれない。そのほうがあり得る。
「本当だよ、もう一回行ってみる?」
「嘘です、嫌です!もう行きません!」
お化け屋敷なんてもうこりごり。自分から行くはずはないから、もうあたしには縁がなさそう…。
「ふふ、じゃあ他を回ろっか!」