大好きなんです。
「知樹のこと頑張って!じゃあね!!」
「は、はい!お先です!!」
奏先輩に挨拶して部室を出る。
「りーの。」
「お、遅くなってすいません!」
「いいよ、それじゃ帰ろ。」
知樹先輩があたしの手を取る。
あたしたち付き合ってもいないのに…。
あたしは嬉しいけれど、知樹先輩は?
知樹先輩はあたしのことどう思っているんだろ…。
知りたいけれど、知りたくない。
「莉乃、聞いてる?」
あっ、いけない。ぼーっとしてた…。
「す、すいません…。」
「いいけど、どこか悪い?ぼーっとしてたし……」
首を傾げる知樹先輩。
あたしのこと気にかけてくれる優しく人…。
「なんでもないです!」
「そーう?わかったよ。」
と言って花火大会の日のことを話す知樹先輩。
「風汰と知佳ちゃんと待ち合わせはバスケコートのほうだね!」
花火大会は公園の噴水側。
バスケコートのほうだと、お祭りの入り口と真逆。
「莉乃を家まで迎えに行くね!」
たまにはあたしが知樹先輩を……
「あたしがお迎えに行きます!」
えっと驚く知樹先輩。
「だめ、危険すぎるから!」
き、危険…?あたしが事故っちゃうとか…??
「大丈夫ですよ!事故にあったりしませんから!!」
知樹先輩が苦笑いする。
「そういう危険じゃなくて……まぁ俺が迎えに行くからね!!」
結局来てもらっちゃう…。
「わ、分かりました…。」
「莉乃の浴衣みたいなぁ……」
「あたし、浴衣ですよ…?」
知佳が書いてくれた紙にも浴衣でって書いてあったし……
「え、ほんと!?やった!!」
知樹先輩喜んでいるみたいだけど…。
「そんな喜ばないでくださいよ!」
似合う気がしないから知樹先輩の期待は裏切りたくないけれど、裏切る自信がある。
「莉乃は似合うよ、浴衣。」