大好きなんです。
花火がよく見えるだけあって人も多い。
「莉乃、もうすぐだよ!!」
「あっ、うん!……えっ?」
あたしたちの前に知佳と風汰先輩がいない。
辺りを見回すけれど知佳たちは見当たらない。
「あー、はぐれちゃったみたいだね……」
知樹先輩も困った様子で…。
「そうですね……」
よく見えるっていう場所、知佳しか分からないし…。
「変に動くと余計分からなくなっちゃうし、とりあえず噴水の方行こう!」
知樹先輩と噴水の辺りに向かう。
あたしは知佳に、知樹先輩は風汰先輩に連絡するも二人とも反応がない。
「知佳ちゃん、出た?」
「いえ、出ません…。」
さっきから電話してみるも、出る気配がない。
「あー困ったな…。どうしよっか……!…あっ…」
一発目の花火が上がった。
えっ、もう6時半!?
花火の開始時間は6時半、知佳たちと歩いててもう30分もたったんだ…。
「莉乃、あそこ座ろう。」
知樹先輩が言ったのは噴水裏にあるベンチ。
いつもあたしのことを引っ張ってくれて……
知樹先輩、優しすぎるよ…。
「風汰たち、もう探さないことにしよ。」
「…えっ?」
「俺は莉乃と2人がいい。」