あたし


『…なにそれ?』



あたしは冷静なふりをした。



鼓動は,さっきの何倍も早くなっていた。



「教科書…ビリビリにされちゃったんだ…」



中島花梨は下を向いたまま小さく答えた。



目から大粒の涙が溢れるのを必死に堪えているのを,あたしは見逃さなかった。



教科書を握る手は…震えていた。
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