ピンク☆ゴールド【短編】
昼ご飯を食べる為、コンビニの近くに設置されているベンチに腰掛ける。


「いっただきま〜す♪」
「いただきまぁす。」


フランクパンを頬張る。ちょっぴり甘いケチャップが、香ばしい匂いのするソーセージに、よく合う。


「んーおいし…。」

「だねぇ♪」


二人で黙々と食べ続ける。二つ目のパンを食べ終わって、満足していると、いきなり錐生の顔が近づいてきた。


「わっ!!何!?」

「んん〜、頬っぺたにクリーム付いてるよ?」


そう言って、私の頬に付いたクリームを親指で掬うと、ペロリと舐めた。

ドキッ……とする。

触れたと感じて、あたしの顔は茹蛸へと変化する。

キスされたみたいで……こんなにもくすぐったい。


「ははっ、可愛い〜。よしっ…行こうお嬢。」


また私の手を取り、水族館へと歩き出す。


朝から錐生は、何と無くふざけてて。

…でもその言葉が、極上に甘いもんだから…私の心は弄ばれて、どうにかしてしまっている。


嗚呼…何かダメだな。





―――水族館。



日曜日の水族館にしては、何時もより空いていて、ファミリーよりも恋人達や新婚夫婦みたいな人達の方が、沢山来ているようだった。


「先ず何処から廻ろうかー?」

「やっぱり…順序通りじゃないの?」

「そうだねー、じゃあ行こうか。」


入口から一番近い場所にあったのは、熱帯魚のブース。色とりどりの魚達が、大きな水槽の中を忙しく泳いでいる。


「なんかキレー…。」


小さな魚が呼吸をする度、小さな泡がプクプクと浮かんでは消えてゆく。


「この魚、可愛い。」


私が指差した魚は、銀のような白色に黒い横じまが入っていて、長い鰭を水の中で、優雅に漂わせているように泳いでいた。



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