ピンク☆ゴールド【短編】
☆3☆ 見え隠れする想い達
次の日の朝。鏡に映る私の顔は、酷く目が腫れ上がっていた。

気が付かない内に、沢山泣いていたらしい。

周りに心配かけられないようにひんやりと冷たい水で、念入りに顔を洗う。


あんまり乗り気にはなれなかったけど、仕方がなく学校へ行く。





学校には、何時も通り生徒達ががやがやと騒ぎ立てていた。

私も何時も通り、自分の教室へ向かう。

二年五組…。ここが私の教室。


「あっ、お嬢ーおはよ♪」

「おはよ〜お嬢!」


クラスの皆と挨拶を交わして、席に着く。私の席は、窓際の後ろから二番目。


「薫、おはよ。」

「おはよう…結衣。」


はぁ…と溜息をつきながら返事をする。


「何かあったっしょ?」

「無いと言ったら嘘になる。」

「まったく…あんなカッコイイ彼氏がいると大変だねぇ?」

「……だれも恋愛でなんて言ってないでしょ。」

「いや、解るよ。何年あんたと腐れ縁やってっと思ってんの?薫の苦手分野……恋愛。」

「………毒舌女。」

「あらぁ?毒舌吐いた覚えは、無いんですけど。」


…絶対に毒舌だ。

私は恋愛が苦手だって事を、結衣だけが知っている。それを何気に付け込んでるから、毒舌だっていうんだよ。



森岡 結衣(モリオカ ユイ)。これが彼女の名前。

私達は、小学生時代からの友達で唯一の理解者。それと同時に、親同士の仲が非常に良いために、もう家族同然の付き合いになっている。


この間の事(恋人宣言)についても、結衣には有りのままを話した。


「ねぇ、結衣。」

「何よ?」

「私って…錐生の事、好きなのかなー?」

「知らないわよ。本当にあんたは…そんな事、普通人に聞かないでしょ。」


馬鹿馬鹿しい、と言わんばかりに、呆れて顔をしかめた。


「解ってるわよ。ただ…自分の気持ちが、自分で解らないんだもの。」


『気付いて』って言われたって……このままじゃ、一生先に進めないよ…。

本当、自分の鈍感さには参る。



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