ピンク☆ゴールド【短編】
「あーあ。そんなんじゃ、恋人になる事を承諾してくれた錐生君が、可哀相じゃない。」


…そうだよ。

そんな事解ってる。

だから、今こうして、必死に答えを見つけ出そうとしてるんじゃない。


「どうしたらいいんだろ…。」


机に顔を突っ伏して、うなだれていると、結衣が私の肩に手を置いて慰めの言葉をくれた。


「薫。先ずは、錐生君とちゃんと向き合うべきだよ。そうすれば、きっと解るから…錐生君の気持ち、自分の気持ち。大丈夫、頑張りな。」


コトンと机の上で物音がして、結衣は自分の席へ、戻っていった。

音が気になって、ふと顔を上げる。すると、目の前には新発売のルージュと、四つ折になったメモが一つ。


『これ、あげるから。元気出すんだよ。今度奢り〜宜しく♪』


メモにはそう書いてあった。

私が欲しがってたルージュ……結衣、覚えててくれたんだ。


淡いピンク色。塗ると、唇がぷっくりと艶掛かって、とってもキュートになるんだ。結衣が私に『似合いそう』って言ってくれたよね。


……本当、結衣には感謝感激だよ。ちゃんと御礼しないと…。



「お嬢。」


声のした方に顔を向ける。教室の入口には、何故か、竹内会長が立っていた。


「どうしたんですか?」


何やら難しい顔をしてるので、私は会長の居る入口に駆け寄った。


「それがさ……今、来客が来ててね。お嬢に逢いたいから、連れて来てくれって言うからさ……。呼びに来たって訳。」


来客…?誰?


「あの…その人の名前は?」

「えっと…、南條 俊也(ナンジョウ シュンヤ)?」


南條…俊也…!?


「あっ、ありがとうございます!!」


私はその名前を聞いた瞬間、教室を飛び出していた。



何で……!?


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