ピンク☆ゴールド【短編】
―――出会ったのは、あの日だった。


入学したばかりの学校。沢山の期待を胸に膨らませ、毎日学校へ通っていた。



そんな時に貰った屋上の鍵。

『持っているのは、薫ともう一人の男の子だけよ』

理事長にそう言われたんだ。


嬉しさのあまり、私は鍵を貰ってから真っ先に、屋上へ向かった。


大きく、錆び付いた扉。その先に広がる、見慣れない景色。

初めて見る街の様子に、思わず胸を踊らせていたんだ。


何処かに腰掛けようと、辺りを見渡す。

すると、フェンス際に、一つのベンチがあった。

『ここにしよ』そう思って、ベンチに近付いた。


「あ…れ……」


私は思わず声を出してしまった。

そこには、『鍵を貰ったもう一人の男の子』……錐生が寝そべっていた。

サラサラと揺れる金色の髪。安らかそうに眠る、錐生の表情は、とってもカッコ良かったんだ……。


「ん…ん〜……」


静かに眠っていたはずの錐生が、いきなり寝言を言ったもんだから、私はびっくりして、腰を抜かしそうになった。

パチッと開いた瞳。頭を掻きながら、むくっ…と起き上がってくる。

すぐ傍にいた私は、戸惑って、何歩か後退った。


『ふぁ〜』と呑気に欠伸をした錐生は、私の存在に気がついたらしく、ベンチから離れて、私に近付いてきた。


「あっ…あの……貴方は?」

「嗚呼、俺?ここの鍵持ってる一人。って事は、君もだよね?」


ニコッと微笑むと、錐生は私の髪を掬って、形のいい唇に押し付けた。


「宜しくね、ピンクの髪のお姫様♪」


それだけ言い残して……錐生は屋上を去っていった。





きっと……この時から

私は貴方に

恋に落ちていたんだ……。


金髪の…私の王子様。





ピンク☆ゴールド



☆end☆

後書き⇒
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