ピンク☆ゴールド【短編】
その後、式典は普通通り体育館で行われた。


私達の『恋人宣言』以外は―。





「お嬢と錐生が恋人同士!?」

「うっそぉ!?ホントに!?羨ましい〜!」

「だからー!超お似合い〜♪」


皆の反応はこんな感じ。

私はとても複雑な気分。

錐生の事を、自分でどう思っているのか解らないまま、恋人だなんて……どういう対応をとればいいのか解らない。





そんなこんなで、式典は終了したけど、私は忙しいままだった。

恋人宣言をした事により、沢山の生徒達に捕まってしまったのだ。


「お嬢、よかったなぁ!」

「錐生君ってどんな人!?」

「何処まで進んだの?」


そんな事聞かれたって……答える術がない。

私が困惑していると……。



「行こう、お嬢。」


すっ…と錐生が、手を差し延べてくれた。

本人達が目の前に現れたため、皆は益々騒ぎだす。


「おぉ、ゴールデンカップルのお出ましだぁ〜!」


誰かがそんな事を言い出すから、周りもその波にのって、更に盛り上がる。

そんな皆を見て、錐生はニッコリと悩殺スマイルで「これからよろしくね」なんて答えてる。



私が呆然と突っ立っていると、グイッと錐生に腕を引っ張られ、人だかりの輪を抜け出した。


「はぁ……ダメだよお嬢。ぼーっとしてちゃ。まぁ、助け出せただけましかぁ…。」


錐生は、屋上へ向かっている。


「ちょっと……これから授業よ?」

「いいんだよ。フケよう?」


何かを企んでいるような、妖しい笑みを向けて、次々と階段を上っていく。


「はぁ…。しょうがないわね、今日だけよ?」

「やりぃ♪てか、お嬢は大丈夫でしょ。元々天才だもん。」

「…錐生に言われて、嫌味に聞こえるのは私だけ?」

「うん、そう。お嬢だけ。」


クスクスと肩を震わせながら、錐生は笑う。

そうこうしてる間に、もう屋上の扉は見えていた。



< 8 / 34 >

この作品をシェア

pagetop