狼系王子とナイショの社内恋愛


散々翻弄された自分を知っているから、声が大きくなる。
無理やりされたキスにうっかり応えてしまった自分を、気づかれたくなかったから。

だけど意地悪く笑みを浮かべた結城さんは、私が隠した事実を簡単に言い当てる。

「セクハラですか? それにしては気持ちよさそうな顔してましたけど」
「よ……欲求不満なだけで、誰でもよかったんです!」
「そうなんですか?」

慌ててそう言い訳した私を、結城さんがおかしそうに笑う。
確かにいくら結城さんのキスに応えてしまった事を隠したかったとしても、今の言い訳はない。

欲求不満って……。
その方が恥ずかしい。

だけど今更それを引込めるわけにもいかなくて、そのまま意地を張るしかなかった。

「そうですよ。本当に誰でもよかったんです。結城さんじゃなくても男なら誰でも」

恥ずかしさと気まずさで口を尖らせながら言った私に、ひとしきり笑った結城さんが微笑む。


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