狼系王子とナイショの社内恋愛


「誰でもいいなら俺にしておいてくれませんか」

そう言った結城さんが、優しく瞳を細めながら続ける。
その瞳に、今までは感じなかった温かい感情を感じて、胸が高鳴っていた。

「高橋さんが望んでくれるなら何でもしますから。
他の男で満たそうとしないでください」
「そんなの、結城さんには関係ないじゃないですか」
「誰でもいいんでしょう?」
「いいですよ、誰でも」
「なら俺でいいですよね」

まるで誘導尋問のようにその答えに導かれてしまって顔をしかめたけれど。
チラっと見上げると、結城さんが挑発するように笑うから。

「いいですよ。……結城さんでも」

不貞腐れたように言ったのに。
嬉しそうに微笑む結城さんに、どんな顔していいのか分からなくなる。

「ちなみにもう満たされましたか?」

意地悪な質問に思いきり顔をしかめると、結城さんに楽しそうに笑われる。





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