狼系王子とナイショの社内恋愛


「十分です。満腹です」
「そうですか? 俺はまだ足りないんですけど。
でも、満足してくれたならよかった」
「……恥ずかしいからもうやめてください。この話題」
「いや、嫉妬とか初めてだったんでつい興奮して……。
途中で苦しそうな高橋さんに気づいてハっとしました」
「あ……それで途中からゆっくりになったんですか?」
「はい。ひとしきり感情任せにキスした後で申し訳ないですけど。
どうにか取り戻そうとして。
高橋さんはどっちが好きですか?」
「え……し、知りません!」

うっかり普通に答えそうになってから、ハっとして首をぶんぶんと振る。
そんな私に結城さんは笑って。

「俺はどっちかっていうと……」
「いいですから! 本当にもう!」
「そうですか?」
「そうです!」

そう強く言い切ってから思わず呆れて笑うと、それを見た結城さんが優しく微笑んだ。







< 104 / 251 >

この作品をシェア

pagetop