狼系王子とナイショの社内恋愛
「もしかしてバカにしてますか?」
「いえ、率直な感想です。私が考えるよりずっと考えてちゃんと遊んでるんだなって」
「いや、結局は自業自得なんですけどね。真面目に恋愛していないのが悪いんだろうし」
「まぁ、それもそうですけど」
「容赦ないですね」
困り顔で微笑む結城さんに、小さく胸が鳴く。
本当の恋に怯えながら、楽な恋を繰り返している結城さん。
そんな恋路はとてもじゃないけど理解できないし、男としてどうかって聞かれたら絶対に嫌だ。
冗談抜きで一番嫌いなタイプかもしれない。
最低だとも思う。
……なのに。
結城さんは嫌じゃないから不思議だ。
これが特別な気持ちなのかは分からないけれど。
過去の一ページでついたキズがまだ塞げずにいる結城さんは、嫌いじゃないと思った。