狼系王子とナイショの社内恋愛


っていうか、一体誰がそんな噂を流したんだろう。

付き合っている間も、社内ではほとんど私語を交わさなかったし、休日会うのだって遠出していた。
別に悪い事をしていたわけではないけど、課長の立場もあるからって、ふたりで気を付けていたのに。

いつバレたんだろう。
でもそれよりも分からないのは、なんでこのタイミングなんだろう。

課長と別れてからもう一ヶ月が経つのに、なんで今更そんな噂話なんて……。

そんな事を動揺している頭で考えていた時、フロアに入ってきた結城さんの姿に気づいた。

一瞬、もしかしたら結城さんが……なんて事も思ったけれど、まさかと呆れてため息をついて頭を振る。
私と課長の事を私が話したのは、結城さんだけだ。
だけど、バラしたのは結城さんじゃない。
今まで色々話してきて、そんな人じゃないのは分かってるから。

でもじゃあ誰なんだろう。
課長が誰かに相談して、とか……。

「なんか……すみません」

黙って考えてると、金子さんがそう言って頭を下げた。


< 133 / 251 >

この作品をシェア

pagetop