狼系王子とナイショの社内恋愛
私は課長がいなければ幸せになんかなれないのに。
今こんなにツラいのに。
そんな恨み言ばかりが心の中を渦巻いて、でも課長を想う気持ちもまだ存在していて、その狭間に挟まれた胸がずっと苦しかった。
だけどそれでも課長を責めたてるような事をしないで済んだのは、多分、結城さんのおかげだ。
課長への様々な気持ちが収まりつつある今、冷静にそう思う。
「だけど結城さんがなぜか私に構ってくれたから。
ひとりで悪い方にばかり考える時間もくれないくらい、構ってきてくれたから。
少しは必要とされてるのかなって、思えるようになったんです」
沈みかけている太陽が、空一面を夕日色に染める。
木や人、建物。
色々な形をした影がコンクリートに伸びていく。
「結城さんの言葉が例え嘘でもなんでも、結城さんのおかげで私はちゃんと立ててたんだと思います。
だから、感謝してます」
微笑むと、結城さんは驚いたのか、じっと私を見つめて。
それから困り顔で微笑んだ。