狼系王子とナイショの社内恋愛
「まぁ、社内の誰と誰が付き合ってようがどうでもいいので言い広めたりはしませんけどね。
うちの会社は社内恋愛が禁止されているわけでもないですし」
「……だったら、私の事も放っておいて」
「言ったでしょ。気になってたって」
「意味が分からないです。結城さん、社内に限らず社外でも大人気だってよく聞きますけど。
からかう相手が欲しいなら勘弁してくださ……」
「高橋さんと佐々山課長の事をもしも社内で口が滑って話した場合、どうなりますかね」
うちの会社は、結城さんの言うように社内恋愛を禁止してはいない。
だから別に問題ないけれど……。
優輝の課長っていう立場を考えれば、プラスにはならないハズだ。
管理職の立場があるし、別れたなんて噂が流れたらどっちが悪いだの色々影で言われるのが目に見えてる。
数ヶ月前、同じ課同士で付き合っていた人たちが別れた時、それはもう盛大に噂話が飛んでいたのを知っているから。
あんな思いを優輝がするのは耐えられなかった。
「高級イタリアンがいいです」
おごりなんですよね、と傲慢な態度で言ったのに、結城さんは楽しそうに笑った。
わけの分からない男だ。