狼系王子とナイショの社内恋愛
結城さんとよく話すようになってからまだ日は浅いのに、顔が見えなくてもどんな顔をしているのかが分かる自分に、少し驚いた。
こんなに分かるほど、結城さんをよく見ていた自分に。
ずっと、課長を忘れるには時間がかかるんだろうなと思っていたし、次の恋なんてできる気なんて全然しなかった。
それなのに、しっかり目は結城さんを追っていたのだから不思議だ。
「ん……っ」
服の中に入り込んできた手が身体を撫でるようにじょじょに上がってくるから、くすぐったいような気持ちよさに思わず声がもれる。
それにハっとして恥ずかしくなっていると、顔を上げた結城さんに笑われた。
「くすぐったかったですか?」
「……少し」
「くすぐったいところは感じるところらしいですけど、ここ、弱いんですか?」
結城さんが指先で触れるのは、脇腹の上の方。
胸より少し下のあたりだった。
自分で意識した事はなかったけれど、結城さんの指先に身体がぴくんと反応する。
「分、かりません……」
それを隠したくて誤魔化すと、結城さんはふっと妖美に微笑んで、服をまくりあげたそこに唇を寄せた。