狼系王子とナイショの社内恋愛
「……あっ、や、だ……っ」
舌先で強めになぞられて思わず身体をよじるのに、がっしりと抱き込むようにされているせいで逃げられない。
何度か名前を呼んで嫌だって伝えたところで、ようやく解放されたけれど……。
こんな事を初めて数分しか経っていないのに、緊張も手伝ってかひどく疲れていた。
そんな私とは反対に、私を見下ろす結城さんは余裕たっぷりに微笑むから、それが悔しくて、しつこいですと文句を言う。
すると結城さんは楽しそうに笑った。
「すみません。少しはしゃぎすぎてるのは自分でも分かってるんですけど。
高橋さん相手だと思うとブレーキが効かなくて」
そう言いながら、結城さんが私の頬に触れる。
大きな手に優しく包むように撫でられて、気持ちがよくて思考回路がふわふわと宙に浮き始める。
「佐々山課長が知らなかった高橋さんの身体を見つけたみたいで嬉しかったんです。
それでつい」
嬉しそうに細められる瞳に、胸が締め付けられる。
たかが私の身体なんかで、なんでそんな顔するんだろうと不思議になるほどで……そんな結城さんを可愛く思った。