狼系王子とナイショの社内恋愛
頬を包む手に自分の手を重ねると、結城さんの瞳が動揺からかわずかに揺れた。
「結城さんと一緒にいる時、課長と比べた事なんてただの一度もありません」
そう告げると、また少し驚く瞳。
その辺歩いていただけで女の子に言い寄られちゃうくせに。
自分に自信がたっぷりなくせに。
なんで課長と自分を比べて、自分が負けていると思うのだろう。
嫉妬なんてするんだろう。
いつも自信満々かと思えばそうでもなくて、強気なのに急に弱気になって。
不思議な人だ。
不思議で……とても可愛い人。
「結城さんは結城さんだから。
比べる必要も優劣つける必要もないです。
私が今見つめているのは、結城大智だけです」
じっと見つめていると、結城さんの瞳が少し見開いてそれから伏せられる。
そして、次に私の視線と重なった時には、微笑みを浮かべていた。
柔らかい眼差しに、私まで温かい気持ちになる。