狼系王子とナイショの社内恋愛
◇「結城さんとこのままなのは嫌だから」



「それはもう運命ね」

日曜日、久しぶりに会った志穂と買い物にでかけた。
駅前のショッピングモールが改装するとかで、割引セールを行っていたから、服や靴目当てに。

色んなお店をぶらぶら見つつ、結城さんとの事を根掘り葉掘り聞かれるままに答えていると、一通りの流れを聞いた後、志穂がそんな事を言い出した。
運命だとか、あまりに漠然としていて思わず笑ってしまう。
失笑ってやつだ。

「どこがどうなったら運命なの」
「だって、たまたま私が逆ナンした男が同じ会社で、しかもそれがきっかけで今いい感じなんでしょ?
いつもは眼鏡かけてないのにあの日だけたまたまかけてたり……それはもう……」
「っていうかね、この間の事ちゃんと注意してなかったけど、ああいうのやめてよね。
志穂が逆ナンした何の素性も知らない男とふたりきりにされたって困るんだから!
もし何かあったらどうするの」
「何かがあったらそれもよしかなって。ほら、もう大人だし。
恋愛の傷を癒すには次の恋愛だって言ってるじゃない」

志穂の恋愛観念には、もう諦めてため息をもらす。



< 169 / 251 >

この作品をシェア

pagetop