狼系王子とナイショの社内恋愛
言い聞かせるのはもう無理だ、もう志穂は好きに泳がせてこっちまで巻き添えくわないようにするしかない。
そう決めたのは志穂とつるむようになって割とすぐだったけれど。
それにしたってあまりの無鉄砲さに毎回首根っこを掴みたくなる。
一言で言ったら危ない子だ。
可愛い顔してるんだから、襲われたりしたら大変だと思うのに、今までそういう目に遭わないのは志穂なりに人を見ているからなんだろうか。
志穂を見ている限り、いつも思いつきやその場その場で行動しているうから、とてもそうとは思えないのだけど。
「とにかく、そんな好条件の男なんてそうそういないんだから、とりあえず付き合ってみればいいじゃない。
上手くいくかどうかは置いておいて、一歩踏み出さないと何も始まらないんだから」
志穂の恋愛観念のおかしさは置いておいて。
今言った事は本当にその通りなのかもしれない。
近くにいいなと思える人がいるなら、とりあえずって気持ちも分からなくはない。
「けど……まだ別れて一ヶ月なのにそんなの、早すぎない?」
「え、私なんて別れて最短三日で次いった事あるよ」
「志穂が特殊すぎるんだよ。普通はもっと時期を開けてから……」
ため息をつきながら言っていると志穂に、普通って何、と割り込まれる。