狼系王子とナイショの社内恋愛


「別れて何か月経ったら次行っていいとかないでしょ。
何日未満ならダメで何日以上ならいいなんて、誰も決めてないじゃない。
普通も何もないでしょ」
「けど……さすがに短すぎたりするのはちょっとって思うじゃない」
「だから、短いって何を基準にしてるの?」

本当に分からなそうに顔をしかめられて、答えに困る。

普通っていうのは、世間一般的に考えて普通って意味だったけれど、その説明じゃ納得してもらえなそうだった。
だけど言われてみれば確かに志穂の言う通りで、何か月が普通だとかそんな基準はなくて、言ってみれば個々の自由だ。

答えられない私に、志穂が続ける。

「前の男と別れて何日で次の男見つけたって、別に前の男をいい加減に想ってたって事にはならないでしょ。
周りは色々言うかもしれないけど、付き合ってる間どう接してたかで相手はこっちが真剣だったって事を分かってくれてるだろうし。
その人さえ分かってくれていれば、周りがどう思おうが関係ないじゃない」

碧衣は、周りの人がいいって言ってくれるまで誰かと付き合うのを待つつもりなの? 無責任な第三者がいいってオーケー出すまで待つの?

そう問われて、何も言えなくなった。





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