狼系王子とナイショの社内恋愛


私が、早すぎるとか気にしていたのって、誰に対してだったんだろう。
課長に対して? 自分に対して? それとも、周りに対して……?

「タイミングの問題だもん。
別れてすぐだったとしても、好きになれそうな人と出逢えたなら嬉しい事じゃない。
目の前のチャンスを、周りの目を気にして我慢して掴まないでいたらもうそのチャンスは二度と回ってこないかもしれないし」

そんなのもったいないよ、と言う志穂はいつも自由奔放で、ふわふわしていて見ていて心配になる。
すぐどこかに行っちゃうし、久しぶりに会って聞く話はハラハラしたり呆れるようなものばかりだ。

だけど、それでもきちんと地面に足がついているのは、芯を持っているからで。

周りの人なんて関係ない。
そう思えるだけの経験をいつの間にか積んで、自信に変えてる。
ぶれない自分自身を、きちんと持ってるんだ。

周りなんて気にしないで、相手と自分だけを見つめられる目を、持ってるんだ。

それに比べて私はどうだろう。
そんな疑問を自分にぶつけても、志穂みたいな自信は見つけられなくて苦笑いがもれた。



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