狼系王子とナイショの社内恋愛
私の上に覆いかぶさったまま、結城さんはぴたっと止まって。
熱のこもった瞳で、結城さんに与えられた感覚に溶け出した私を見つめた後、つらそうに顔を歪ませた。
そして、私に何度目か分からないキスをして、サカっちゃってすみませんと困り顔で微笑んで行為を中断させた。
それから結城さんが帰るまで、その事に対して結城さんは何も言わなかったし、私も理由が気にはなったけど聞けなかった。
「もしかしてダメだったとか?
ほら、興奮しすぎてダメな時あるじゃない。男って」
志穂の大胆発言に周りを気にしながら答える。
「そんな事はなかったと思うけど……。
むしろ問題があったとすれば私の方なのかもしれないし」
「なんで?」
「それから結城さん、私の事避けてるから」
部屋での出来事があったのが、水曜日。
それから休みになるまでの二日間、結城さんは意識して私を避けているように感じた。
いつもだったら、挨拶はしなくても視線は交わしていたのに、結城さんは私の方を見ようともしない。
今までが積極的に近づいてきていただけに、そういう変化はすぐに感じ取れた。
結城さんに避けられてるって。