狼系王子とナイショの社内恋愛
◇「待たせてすみません」



まだはっきりと自分の気持ちが分からないだとか、結城さんが避けたいならしばらくこのまま様子を見る方がいいだとか。
動かない方がいいんじゃないかって理由も、それなりにならある。

だけど、そんな理由よりも何よりも。
ただ、話したいって気持ちが強かった。

結城さんに避けられるようになってからまだ五日しか経っていないっていうのに、毎日がなんだか物足りなくて。
目を見て話したい。そう思う気持ちが日に日に大きくなっていっていた。

結城さんへの気持ちにはっきりと名前がつけられないなんて言いつつも、会いたい話したいなんて事を無意識に、でも切実に思ってしまっている自分に、答えを見つけた気がした。

もっとも、もしかしたらって思いはだいぶ前から持っていたけれど。

それが確信に近づいたのは、自分の気持ちを直視するように強く言ってきた志穂のおかげかもしれない。

休みが明けた月曜日を、志穂につけてもらった勢いをそのままにぶつかろうと決意して迎えた。

出社して企画課前を通る時、結城さんの方を見たけれど……。
結城さんはデスクにはいるものの、私に視線を向けてくれることはなかった。





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