狼系王子とナイショの社内恋愛
机に視線を向けたまま私を見てくれない結城さんの姿に、胸が痛む。
気付かないうちに嫌われるような事をしたのかもしれない。
結城さんはもう私とは話したくないのかもしれない。
不安ばかりが襲ってきて、どんどん弱気になっていって……。
頑張ろうって決めた心が折れそうになるのを必死で堪えた。
迷惑だって思われても、自分勝手に行動してみるって決めたんだから。
中途半端なまま後悔したくないって、覚悟を決めたんだから。
最後までやり遂げないとダメだ。
そう強く決めた後、鞄だけ置いてオフィスを出る。
それから廊下を歩いて人気のない場所に行ってから携帯でメールを打った。
宛先に結城さんのアドレスを呼び出して決定ボタンを押す。
メールを作るのにこんなに緊張するのは久しぶりだな、なんて思いながら送信ボタンに指先を持って行く。
そして、文面を見つめながら送信を押した。