狼系王子とナイショの社内恋愛


これだけ避けられてるし、もしかしたら来てはくれないかもしれない。
そうも思ったけれど、結城さんはそこまで薄情な人じゃないと思ったから、来てくれる確率の方が高いと感じていた。

結城さんを信じたいって思いが強かったのもあるけど、今まで見てきた結城さんはこんな急に一方的に関係を切るような人には思えなかったから。
私を避けるのにも何か理由があるような気がしていた。

私の事を特別に想ってくれてるっていう自信はないけれど、結城さんは多分優しい人だ。
私を避けている事に、結城さん自身も悪気みたいなものを感じてくれている気もしたから、来てくれるんじゃないかと思ってた。

もちろん、自信満々にそう思っているわけではなく、漠然とだけど……でもきっと。

祈るような気持ちでカフェに入ろうとした時だった。
後ろから名前を呼ばれたのは。

時間は18時20分。
約束の時間よりも40分も早かった。

「山川さん……」

振り返った先にいたのは、企画課の山川さんだった。
声をかけられた時点で結城さんじゃないのは分かっていたけれど、まさか山川さんだとは思わなかったから動揺を隠せなかった。


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