狼系王子とナイショの社内恋愛
結城さんとは、社内では特に目立って一緒にいた覚えなんてない私にこうしてアクションを起こしてくるあたり、相当の執着度だ。
思い当るのは一度ランチを一緒にしたって事くらいだけど、それも金子さんが同席していたハズだ。
なのに私にくるって事は、社内の事だけじゃなく、何か掴まれているのかもしれない。
そんな風に考えながら、無表情のままの山川さんを見つめる。
「すり寄ってなんていませんけど」
「嘘つかないで。会社帰りに頻繁に会ってるって知ってるんだから」
「……もしかして、結城さんの後をつけてたんですか?」
少し驚きながら聞いた私に、山川さんは顔をしかめて黙った。
「黙るって事は肯定ですか?
結城さんと山川さん、付き合ってたんですよね? 噂で聞きました」
結城さん本人から聞いたってなると仲がいいって思われそうだから、噂でって事にしておく。
山川さんは顔をしかめたまま、勘違いしてるみたいだけど、と話し出す。
「別に私は結城くんと仲がいい事に嫉妬して話しかけたわけじゃないの。
高橋さんの事を思って、あまり仲良くしない方がいいと思っただけ」
「……どういう意味ですか?」