狼系王子とナイショの社内恋愛
絶対にやきもちからの行動だと決めつけていただけに、予想外の事を言われて、驚きながら聞き返す。
私のためって、どういう事なんだろう。
「佐々山課長と高橋さんの噂、高橋さんも聞いたでしょう?」
「はい。すごい勢いで広まってたみたいなので、多分その日のうちに」
「それを広めた犯人はもう見つかった?」
「まだですけど……別に探してもいないですし。噂なんて一ヶ月もすればなくなるかと思って」
そう答えた私に、山川さんは軽くため息をつく。
そして、心配そうに眉を寄せて私を見た。
「高橋さん、結城くんに佐々山課長との事相談したりしなかった?」
結城さんに相談……というか、佐々山課長との事を知られていたのは事実だけど。
それに頷くと、佐々山課長との事を肯定しているみたいになるから何も言えなくなる。
黙ったままの私に山川さんは、やっぱり……と呟くようにもらした。