狼系王子とナイショの社内恋愛
「結城くんと仲がいいみたいだから、こんな事言うとショックを受けるかもしれないけど……。
噂を広めたのは、結城くんよ」
「……はい?」
「聞いたの。結城くんが他の課の人に、佐々山課長と高橋さんの事話してるのを」
驚いて黙った私に、山川さんが続ける。
「もちろん、結城くんが最初のひとりじゃないかもしれない。
けど、楽しそうに広めていたのは事実だから……。
それに、佐々山課長と高橋さんの事を知っている社内の人間なんて限られるでしょ?」
「そうですね……。私が知る限りだと、結城さんと……あとひとりだけです」
「そうなると残念だけど、結城くんが犯人って可能性が高……」
「でもまさか、山川さんも知っているとは思いませんでした」
いつから知っていたんですか?と聞いたけれど、山川さんはそれには答えずに焦ったように口を開く。
「私は、噂で知っただけで……」
「私は一度も佐々山課長との噂が本当だとは言っていません。
なのにどうして、私が結城さんに佐々山課長との事を相談したと思ったんですか?」
「それは……」
「山川さんの話だと、私と課長が付き合っていたって事が事実って前提で話が進んでますよね」