狼系王子とナイショの社内恋愛
「後でもいいですか? この間からずっとおあずけ食らってるので、もう待てそうもないんですが」
それを言うなら私だってそう。
そう答える前に唇が重なって、入り込んできた舌に開けたままだった目をそっと閉じる。
「……ん」
そのまま押し倒された時には、もう吐息が熱を持っていた。
私だけじゃなく、結城さんも。
長いキスを終えて少しだけ離れた結城さんが、上から妖美な微笑みで私を見つめる。
「碧衣って呼んでもいいですか?」
そう聞く結城さんに、はいと頷いてから、敬語もやめて欲しいと伝えると笑顔を返された。
「今更話し方を変えるのもなんか照れくさいけど、碧衣が望むなら」
「だって……結城さんの敬語は相手に距離を感じさせたいからなんでしょ?
だったら、私との間には距離なんか持たないって、結城さん自身で証明してださい」