狼系王子とナイショの社内恋愛


「26です。早生まれなんで学年では高橋さんの四つ上です。
ちなみにフルネームは結城大智」

名前を知らなかった事がバレないように、知ってますよーと目を逸らしながら笑う。
下の名前なんて知らなくて当たり前だけど、正面きって知らなかったですとも言えないし。

そんな私に微笑む結城さんを見て、本当に噂通りの美形だなと感心する。

企画課と総務課は同じオフィスにあるから社内ですれ違ったりすることはあるけど、こんなじっくり見るのは初めてだ。

「そんな年上だったんですね。同じ歳くらいかと思ってました」
「でも俺途中入社なんで、入社年数から言ったら高橋さんと同じくらいですよ」
「途中入社?」
「業務体制が変わったとかで、四年前の六月に急募があって。
そこにたまたま入り込めたんです」
「そうだったんですか。じゃあお互い敬語でいいですか?
周りに仲いいと思われると女性社員から非難喝采だと思うので」

私の提案を結城さんは笑顔で了承した。


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