狼系王子とナイショの社内恋愛


その顔を見ていたら、気にしていた結城さんの経験人数なんてどうでもよくなっていた。
過去なんか関係なく、今この人に想われているだけで十分だと思えたから。

微笑む結城さんに私も笑みを返すと、結城さんが言う。

「過去の事は言い訳できないし変えようがないけど。
今、碧衣をどれだけ想ってるかなら伝えられるから。
時間をかけて証明してもいい?」
「え……あ……っ」

入り込んできた指先に身体が敏感に反応する。
じらす事なく昂ぶらせようとする結城さんを身体を震わせながら見上げると、妖美に微笑まれて、証明の意味を知った。

「ゆ……うき、さ……っ」
「碧衣がもういいって言うまで、証明し続けるから」
「時間、をかけてって……っ、そういう……んっ、やぁ……っ」
「まさか。こんな行為で証明できるなんて思ってないよ」

こんな行為、なんて結城さんは言うけれど。
そんな軽く言い表さないで欲しい。

結城さんは指先で撫でる程度の行為なのかもしれないけれど、受けている私からしたら身体を震わせて耐えるのがやっとなんだから。


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