狼系王子とナイショの社内恋愛
「いえ……怒る理由もないですし。
身体も大丈夫です」
「じゃあ気持ちよかった?」
「……はい」
「よかった。あまりのしつこさにひかれてたらどうしようかと思った」
この会話を続けるのが恥ずかしくて布団に顔半分を隠した私の頭を、結城さんが優しく撫でる。
視線だけ上げると、微笑む結城さんと目が合って、もう眠くない?と聞かれた。
「あ、はい」
「じゃあ少し早いけど起きてお茶でも飲みながら話せる?
弁解するって言って部屋に上がり込んだのに、またその話をしてなかったから」
言われてみればそうだった。
当初の目的はそれだったのに……流されるまますっかり忘れてた。
ベッドを降りてから携帯で時間を確認すると、また朝の5時過ぎで。
本当に早すぎる時間と、いつもとは違う朝に笑みをこぼしてから、お茶を入れるためにお湯を沸かした。