狼系王子とナイショの社内恋愛
◇「碧衣はどう思う?」



すきっ腹にコーヒーもあまりよくない気がして、代わりに入れたのはココア。
大人の男の人にココアってどうなんだろうと思って、入れる前にコーヒーの方がいいか聞いたけれど、結城さんはココアでいいと答えた。

そういえば、一緒にご飯を食べた時も、私がデザートを頼むと毎回のようにつまんでたっけ。
もしかしたら意外と甘いモノ大丈夫なのかもしれない。

マグカップをふたつテーブルに置くと、結城さんはありがとうと微笑む。
昨日、仕事帰りのまま寄ったからワイシャツ姿なのは当たり前だけど、ボタンを二つ目くらいまで開けているせいでいつもは見えない肌が露出していて。

恥ずかしくなってすぐにそこから目を逸らした。

昨日……というか今日というか。
その出来事があるだけに、余計に意識してしまって恥ずかしい。

「前、大学の時、ひとりの先輩をものすごく傷つけて泣かせたって言っただろ?」
「あ、はい」
「言わなかったけど、それが結構ずっと頭から離れなくて。
あまり意識しないようにはしてたけど、軽い恋愛しかできない程度には俺の中でトラウマになってたんだ」
「……はい」

言われた事はなかったけど、気付いてはいた。
なんとなくだけど、そうなんじゃないかなって。


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